2015年4月アーカイブ

第26回(最終回) 鳥獣被害対策の前線で(後)

 猿たちは道路際で食べ物を探している様子だったが、50メートルほど手前で車を停めて外へ出ると、山のほうへ逃げ始めた。遅れて畑から戻ってくるのもいる。全部で8匹確認できた。この群れにGPS発信機をつけた猿がいるという。

「この距離で逃げ出すのは、まだ人間をナメ切っていない証拠です。いま手を打てばぎりぎり間に合うけれど、人が寄っても逃げないとか、攻撃的になったらやっかいなんです」...

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第25回 鳥獣被害対策の前線で(前)

 松本へ来てから知り合った環境調査会社の知人が、独立して新しい会社(株式会社BO-GA。本社は福井県敦賀市)を立ち上げたので、いまがチャンスと松本事務所へ会いに行った。前々から、いったいどんな調査をしているのか興味があったのだが、週末でさえ調査やイベントで飛び回っている多忙ぶりに遠慮していたのだ。

 道に迷いつつ事務所を訪れると、床にダンボール箱が積んであったりして、スタートし...

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第24回 鷹匠〔たかじょう〕に会いに行く

 ぽっかり予定の空いた日は『八珍』までラーメンを食べに行く。狩猟期間中は鴨がいる・いない、どこでどのように猟をした、という話中心になりがち。家族のこと、仕事のこと、趣味のこと。鳥撃ちの師匠であり大先輩でもあるけれど、友だちのような感覚で雑談できるのが猟期外のいいところだ。

「知り合いに鷹匠がいるんだけど会ってみる?」

 去年の秋、どういう話の流れだったか、思い...

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第23回 狩猟は地域おこしの役に立つか

 昨年の狩猟サミットでは、環境保護や猟に関する活動をしている方々によるプレゼンテーションの時間があった。その中で印象に残ったのが井野春香さんという20代の女性が立ち上げた"けもかわプロジェクト"なる試み。「獣」と「カワイイ」を組み合わせた造語である。短時間のプレゼンだったので、鹿の皮を使って名札ケースやストラップを製作していることくらいしかわからなかったが、そういう発想は自分にはなかったと驚...

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