NIEとはNewspaper In Education(教育に新聞を)の略。新聞を教材として教育に活用しようという運動です。

第6回長野県NIEセミナー

 長野県NIE推進協議会は11月6日、「第6回県NIEセミナー」を長野市の信濃毎日新聞長野本社で開いた。小中高校の教諭ら約50人が参加。実践事例の報告や講演、実習を通して、教育への新聞活用に理解を深めた。

【講演&実習】知識は「道具」 表現する力つけて

実習の様子
データベースで新聞記事を集める参加者
 講演は、明治学院大心理学部教授の下田好行さんが「メディア社会をどう生きるか〜知識基盤社会に必要な能力とNIE」と題して行った。下田さんは、学習で身に付いた知識や技能を「道具」として、表現する力が必要と指摘した。  引き続き、新聞記事を論拠に持論を展開する実習。参加者は数人のグループごとに、「野生動物との共生」「職業としての教師」といったテーマを決め、新聞データベースで記事を集めた。論の進め方を話し合いながら記事を選び、グループごとに紙面を投影して発表した。  「定年後の人生」をテーマにしたグループは、熟年夫婦の旅行で「増える新成田離婚」や8割以上の地方公務員が「定年後が不安」とした記事などを提示。日頃からのコミュニケーションを大事に、家計を見直した上でライフスタイルを考えるべきだと結んだ。

【実践発表】社会とつながる「沖縄新聞」作り

 新聞を見ることから生徒たちによる新聞づくりに発展した北安曇郡松川村の松川中学校3年C組の活動について、担任の黒岩理恵子教諭が紹介した。きっかけは新聞を毎日見て、感想を書くこと。その中で米軍普天間飛行場移設問題に関心を持った生徒たちが、沖縄と他地域で基地問題に対する思いに温度差があることに気付いた。自分たちで取材して分かった沖縄問題を、県内の中学生に伝えようと「沖縄新聞」を作ったという。
 「生徒たちは多くの大人に会い、支えられてきた。特に、大人として扱われていることが、活動への自覚やプロ意識につながった」と黒岩教諭。社会とのつながりや広がりの大切さを強調した。

(2011.1月発行 ながのNIEだより20号より抜粋)
※所属・肩書きなどは掲載当時のものです。