NIEとはNewspaper In Education(教育に新聞を)の略。新聞を教材として教育に活用しようという運動です。

お知らせ

《リポート》模擬授業「最後だとわかっていたなら」

 長野県NIE研究会(会長・中村和彦白馬中学校長)が1月24日,長野市の信濃毎日新聞長野本社で開かれました。総会後の研究会では,佐賀県多久市立東原庠舎(とうげんしょうしゃ)中央校副校長でNIEアドバイザーの光武正夫さんが,模擬授業「最後だとわかっていたなら」を行いました。模擬授業の様子をリポートします。
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岩手日報社の広告企画を道徳の教材に
 「最後だとわかっていたなら」は,岩手日報社(本社・盛岡市)が東日本大震災をテーマに2017年から続けている広告企画。光武さんは18年に岩手県で開かれたNIE全国大会で出合って以来,新聞広告や関連の動画を教材にして道徳の授業を行ってきた。
 この日の模擬授業では,東日本大震災後に岩手県大槌町に設置された,線がつながっていない電話ボックスがモデルの絵本「かぜのでんわ」を朗読。そして,岩手日報社が制作した動画を視聴した。動画では,津波で亡くなった人の遺族が,最後となった故人との会話を思い出し,後悔などの心情を語っている。

御嶽山噴火災害の記事も活用
 参加者は予習として,東日本大震災で両親と妹を失った子どもの記事,また長野・岐阜県境にある御嶽山の噴火災害(2014年)で両親を失った高校生の記事を読んでいた。予習用シートは,記事に登場した子どもは成長して看護師を志し,高校生は工業大学に進学したことを紹介。参加者は2人の立場になり,進路を決めた理由や亡くなった両親に「かぜのでんわ」で伝えたいことなどを書いた。
 最後は、「もし,『最後だとわかっていたなら』,あなたは誰にどんなことを伝えたいですか」「あなたは,卒業式(修了式)まで,どのように生きたいですか」といった問いの答えを考え,参加者同士で共有した。

参加者から「参観日に授業をしたい」の声
 光武さんは講演で, 「死を意識することは,『生きる』を意識することではないか」と問いかけ,教科としての道徳には「心情だけでなく,心と知識をつなぐことがとても大事」と語った。新聞を活用した学習については「広告や動画,ウェブのコンテンツも活用できる。記者以外の新聞社社員,広告代理店の企画力もひっくるめて,一緒に授業を作っていってはどうか」と提案した。
 模擬授業には,長野県内の小中高校の教員ら30人余が参加した。参加者からは「卒業を前にした参観日にこの授業をしたい」「重い内容だからこそ,まず教員がしっかり学び,考えることが大切と思った」といった感想が寄せられた。
 光武さんが行う実際の授業では,事前に生徒の家族に生徒宛ての手紙を書いてもらい,生徒も家族への手紙を書く。「最後だとわかっていたなら 教育プログラム」として,学習指導案と学習指導過程が岩手日報社のサイト (https://www.iwate-np.co.jp/content/taisetunahito-omouhi/school/) で公開されている。また,教材となる新聞広告や動画は,岩手日報社が無料で提供している。

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