第21回 銃砲店は猟師のオアシス

スコープが狂った理由は...

 そうか、遠慮しなくていいのか。じゃあ佐藤さん、ちょっと銃を見てもらえませんか。スコープがズレやすいんです。自分なりに調整はしてみたのですが、自信が持てなくて。

「FXサイクロンか。一般的な銃だね。中古で購入して、スコープは店でつけてもらったんですね」

 はい。ネジが若干緩んでいたので、それはシーズン途中で締め直しました。でも、当たらない。初っ端に1羽獲っただけで、あとはかすりもしません。

「猟師は当たらないと銃のせいにしがちなんだよね、ははは」

 いや、そんなつもりはないのだけれど...。

「あれ、ここ緩んでるな」

 え、スコープと銃身をつなぐネジは念入りに締めたはず。

「そこはOKだけど、こっちがね。これじゃあ、いくら調整したってすぐにズレてしまうさ」

 なんと、見逃していたネジが2カ所あったのだ。購入時にはきちんと締まっていたはずなのだが、人のやることなので完全にバランスの取れた締め方にはならないことがあり、クルマの振動などによって緩むのは、よくあることらしい。

 つまり、ぼくは調整直後だけ照準が合っていて、出猟すればするほどネジが緩む銃で、シーズン後半を過ごしていたわけか。

「そのとおり!」

 佐藤さん、大笑い。ぼくは苦笑い。でも、解決して本当に良かった。放っておけば、どれだけ調整しても合わない銃に悩まされるところだ。それは楽しくないなあ。

「初歩的なことを相談されても、それを嫌がる銃砲店はありません。どんどん相談して、もちろん練習もして"狩猟欲"を高めてください」

◇   ◇

 帰りのドライブは楽しかった。胸のつかえが取れるとともに、銃砲店に対して臆する気持ちもスッと消えていた。来シーズンまでに射撃練習を重ねよう。

 うまくなりたい、たくさん獲りたいという"狩猟欲"全開で、つぎの冬を迎えるために。

今回のイラスト