第22回 鳥撃ち部結成!?

ハンター養成学校が早くも成果を

 カズヤさんとアベちゃんは、2014年度に第1期生を募った『長野県ハンター養成学校』で出会っている。猟師不足の対策として始まった、猟師志願者の予備校的なシステムで、座学だけではなく、鹿の解体を見学するなど実践的な内容でもあるという。しかも受講料は不要。

 ぼくが受かったくらいだから、免許の取得だけなら独学でもできる。でも、狩猟がどういうものかを事前に知ることができたり、現役猟師の話を聞く機会はなかなかない。養成学校で知り合った人たちとのネットワークを生かすこともできるわけで、実際、アベちゃんは同期の知人と出猟したりもしている。行政主導の堅苦しさはあるかもしれないが、こうしたシステムは、猟と無縁に育った人にとって格好の入り口になる。少なくとも、猟のことを何一つ知らないまま免許を取得したり、銃を所持し、すぐ嫌になってやめてしまう確率は減らせるだろう。

 女性の狩猟免許取得者が増えたといっても、もともとが少ないから、数にすればまだまだ。高齢で辞めていく猟師の数のほうが多い。養成学校を経て猟師になる人たちは、地域の猟友会以外に仲間を持つことができるのがメリットだ。試験的に何年かやって終わりではなく、長期的な展望のもと、猟師志願者の登竜門として定着させてほしい。

 宴が進むうちに、コーイチさんがよく行く銃砲店にアベちゃんや中沢さんも行っていることが判明したり、中沢さんが参加している大物猟を仕切っているのがぼくに鹿の角やヤマドリをくれた小島さんだったり、人間関係がつながってくるのも面白い。でも、本日最大の収穫は、20代から60代までの鳥撃ち組が集まったことだ。現在の猟は鹿やイノシシ狙いが主流。害獣駆除の観点からも、圧倒的に大物猟が注目される中、この集まりは貴重じゃないすか宮澤さん。

「うん、来シーズンはいろんな組み合わせで鳥撃ちができそうだね。そうそう、この前ゴムボート買ったんだよ、4人乗りの」

 すでに何台か持ち、要所に浮かべているが、ゴムボートなら手軽に運搬できるので回収力アップが見込めるのだ。

「ゴムボートまで使うんですか」

 カズヤさんがのけぞり、その使い方をめぐって再び会話が熱くなる。この調子だとカズヤさんも鳥撃ち仲間になりそうだなあ。そう思ったら、飲んで喋っておしまいにするのがもったいなくなってきた。情報交換などがしやすいように、ときどき集まれたら楽しいだろう。

◇   ◇

 一緒に猟をしたり、今夜のように宴会をするだけでも得るものは大きい。ゆるい部活みたいなものだ。部長は宮澤さんで決まり。うるさい会則はなし。競争もなし。ルールを守り、無事故でシーズンを終えることが目標である。

 ということで、鳥撃ち部発足である。名前は...そのうち考えよう。

今回のイラスト