第5回 準備は着々と進んでいる!?

 安曇野市で猟師デビューを目指す中野さん(第2回に登場)から、射撃講習の申し込みを済ませたと連絡が入った。合格すれば銃砲所持許可の申請や銃の購入など一気に話が進み、うまくいけば年明けにも出猟できるだろう。

 伊那市高遠の雀斎〔じゃくさい〕さん(第3回に登場)は、3連休最後の文化の日に開催された市民祭松本まつりに出店。鹿の骨や皮で製作した装飾品を売るというので見に行ったら、店はスタッフに任せて、プロのパーカッショングループと一緒になって鹿太鼓を叩いていた。音質が違うのでイマイチかみ合っていなかったが...、まぁ元気であることはたしかだ。

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 ぼくは連休中、鳥撃ち師匠・宮澤幸男さんのラーメン店『八珍』に出かけた。2シーズン目を迎えるにあたっての挨拶と、狩猟解禁日に向けての具体的な作戦会議をしたかったのである。

 我が家から『八珍』までは約60キロ。国道19号線を使って1時間20分ほどかかる。以前住んでいた東京の感覚だと遠いなあという距離だが、遠距離移動に慣れたいまでは、この程度の移動は何とも思わなくなっている。ぼくもだんだん"松本の人"になってきたということだろう。

 道中は、猟場である犀川が見えるので、鳥がいるかどうかチェックする楽しみもある。この日は冬場、鳥たちがいた場所に近づくたびスピードを緩めてみたが、コガモ、カルガモが何羽か目に留まったくらいだった。渡り鳥たちの飛来はもう少し先なのかもしれない。

 『八珍』に着いたのはランチタイムの忙しい時間帯。食事をしながら宮澤さんが手を休めるタイミングを見計らって話しかける。鳥があまりいないようだけれど、11月15日の狩猟解禁日にはどれくらい増えるものなのか。

「ぼちぼちきてますよ。鳥がやってくる時期は年々遅くなっていて、はっきり数が増えるのは年が明けてからだけど、いることはいます。新しい猟場も考えているから、解禁日前に見にいきましょう」

 望むところだ。川はそれでいいとして、宮澤さんが最も好むヤマドリ猟対策のほうはどうだろう。

「この前下見に行ったらいました。7羽確認。初日はヤマドリ撃とうと思ってるんですよ」

 それはぜひ同行したい。ぼくはまだ、生きているヤマドリを見たことがないのだ。解禁日は朝イチでヤマドリ。宮澤さんは店があるので、午後は練習がてら一人猟。ヤマドリ猟では空気銃の出番がなさそうだが、午後には今季の撃ち初めができる。鴨撃ちは早朝が鉄則だけどチャンスがないわけではない。よし、これで初日のプランが固まった。なーに、ダメなら翌日も出動すればいいのだ。解禁日から動き回れる今年は、実質50日しかなかった昨年と違って気持ちの余裕ってもんがあるね。