第5回 準備は着々と進んでいる!?

狩猟者登録も完了!

 3月に松本市の郊外から市街地へ引っ越したので、猟友会にも入り直すことにした。公安委員会への届けは終えているが、今シーズンの狩猟者登録も必要だ。狩猟者はシーズンごとに狩猟登録を申請し、申請手数料、狩猟税、(猟友会加入者は)県猟友会会費、郡猟友会会費、大日本猟友会を通じて加入する災害共済を支払わなければならないのである。万が一の事故に備えてハンター保険に加入することも常識。地域によって違うのだろうが、ぼくの場合で約2万円の出費となる。

 住所変更も併せて行い、狩猟者バッジと登録証を受け取った。年度ごとの鳥獣保護区、特別保護地区、休猟区などが記されている「長野県鳥獣保護区等位置図」も、このタイミングで渡される。すぐに広げ、ぼくが狙っているエリアが保護区になっていないことをたしかめた。この地図は大判なので、必要な部分をコピーして自分用の狩猟地図を作るつもりだ。散弾銃やライフルはどこで何発撃ったか記録する義務があるが、空気銃にはそれがない。だから自分なりに工夫しないと出猟データの蓄積ができない。ぼくは今シーズン、地図とノートを使って行動記録を取ろうと思っている。

 係の人が入れてくれたお茶を飲んでいたら、隣で雑談を聞いていた老猟師が話しかけてきた。どこで何撃ってるんだい。犀川? 空気銃で鳥撃ち? まだ1羽も獲ってない? どんなふうに撃ってるか言ってみろ。いきなり問い詰められ、しどろもどろになりながら失敗経験を話してみた。と、老猟師から鋭い指摘が。

「鴨を撃ちたいなら日が出る前から川へ行くことだよ。隠れる必要はない。ただし銃は決して見せず、殺気も出さない。のんびり釣りでもしてるフリをする。そしたら鴨は油断して逃げないよ。そこを日の出とともに撃つ。距離も近いから当たる」

 猟師歴60年超の大ベテランは悠々と話してくれた。ぼくがやったらギクシャクして警戒されるだろうと思ったが、そういう話じゃないのだ。猟における自然体とは何か、という深い話なのである。

◇   ◇

 最後に名刺を渡され、いつでも遊びに来いと言われた。その名刺には「○○うたおう会」と書かれている。うっ。猟の話をしてやるから来いなのか、歌うから来いなのか、真意がわからない。両方か。深い話の後はカラオケタイムなのか...。

 行くよ。ぼくは行く。めったに聞くことのできない60年の狩猟経験はヒントの山に違いない。大好きな水前寺清子の『365歩のマーチ』、しばらく歌ってないが練習しておこう。

今回のイラスト